社会福祉労働者の現場では、労働組合結成率が極めて少なく、9割以上がない | ふくしらぢお dansoundemo

社会福祉労働者の現場では、労働組合結成率が極めて少なく、9割以上がない

「従来から日本の社会事業界では社会事業従事者が労働組合を結成することはもちろん、労働条件に関してとやかくいうことすら、社会事業従事者としてふさわしくない思想や行動であると批判されるほど後進的・停滞的である。そして若い社会事業従事者自身がそのような建設的な努力への希望や意思を失っていくという傾向さえ見られる。しかしこのような事情の下では、他の社会的領域における通常の水準(世間並みのあり方)にさえ到達することができないだけでなく、日本の社会事業は一歩も前進することができない。したがって、社会事業従事者が労働組合(職員組合)を結成し、みずからの労働条件の向上改善をはかるとともに、この労働組合が中心となって他の民主的な組織や団体と密接に連絡連携をとりながら、社会事業と社会保障の拡充強化に貢献することが当面の任務であるといえよう」(日本社会事業研究会編(1964)『社会福祉事業概説』(ミネルヴァ書房)。


 上記文中「社会事業」という旧名称を現在の「社会福祉」という名称に置き換えても、40数年前の社会事業状況とでは、その内容があまり変化していない。むしろ、それは進歩どころか、後退の一途をたどっているとしか思えない。とくに民間の社会福祉法人等で働く社会福祉労働者の現場では、労働組合結成率が極めて少なく、9割以上がない。そのため市場原理化の「金儲け福祉」(金銭成果主義的福祉)急増の中で、非正職員化、パート化が進み、「使い捨て」の状況が多発することになった。


(田代国次郎『現代社会福祉変革の課題』2006,本の泉社)